今日もドラゴンフラワーは姿さえ見つからなかった。
「今日も収穫はゼロか・・・」
皆が頑張っているのに、足踏みしている自分を情けなく思う。
いっそ見逃したアイツを捕らえようかという考えが浮かぶ。
「・・・」
だがそれはカオルの中の色んなものが許さなかった。
そんな自分に少し腹を立てながらも、どこかで安らぎを感じていた。
そんなカオルの胸中とはうらはらになんだか街が騒がしい。
人だかりができて、たくさんの人間が騒いでいる。
「号外―号外―。」
大きな声でビラを撒く異星人が前から近づいてくる。
カ「なにかあったのか?」
「知らねえの?なんでもAクラスハンターのジュウゾウが動く金塊と言われるSクラスの獲物、
ゴールドマンを捕まえたらしいぜ。」
「!」
空を舞うビラをつかむ。
網に捕らえられ、がんじがらめの格好で吊り下げられたゴールドマンと、得意気な顔で傍にふんぞり返る、粗野な風貌の異星人。
無表情で正面を向いているゴールドマンは、カオルにはとても悲しそうに見えた。
「どこに捕まってるんだ?」
「ハンターセンターの檻の中らしいぜ。」
「今大勢で査定中らしいぜ。」
「一体いくらの値がつくんだろうな?」
「1000万か、1500万・・・」
「いや3000万はいくな。」
「ひえー。」
「俺もあやかりたいもんだぜ。」
「なあ兄ちゃん、あれ?」
カオルは馴染みのハンター協会センターに駆け出していた。
「よおBランクマスター。」
「はあはあ。」
「Sランクのゴールドマンをジュウゾウのやつが捕まえてきやがったぜ。」
「っはあ・・・」
「俺はもしかしたらアンタが捕まえるんじゃないかと仲間内で賭けていたんだが、
先をこされちまったなあ。」
「獲物は?」
「奥で鑑定中だ。俺の読みじゃ、2760万ってとこだな。」
奥の扉を開く。
「今行っても、追い払われるぜー。」