ぶ〜ん
黄金のブリキ虫がゴールドマンの顔にとまる。
「お前の仲間か?」
「アウ、オレのユイイツのトモダチ。」
隠してあったエアカーにゴールドマンと黄金のブリキ虫を乗せて、東の荒地に向かう。
「お前はあそこに隠れていたほうがいい。」
「ウ・・・」
「今まであそこにずっといたんだろ。同じ暮らしを続ければいい。」
「サイショノヒトがジュウサンサツのホンをクレタ。
オレズットソノホンをジブンのアカリデクリカエシヨンデタ。
ナンドモナンドモナンドモヨンダ・・・ソウヤッテオレコトバオボエタ。」
「何十冊でも持っていってやるよ。」
「ホント?」
「ああ、俺の友達に本に詳しいやつがいるんだ。」
「ホント?」
「ああ。」
「ホントナラオレウレシイ・・・」
ゴールドマンは相変わらず無表情だったが、カオルには確かに笑っているように見えた。
「じゃあな。」
「・・・オマエ、リュウノハナをサガシテイルノカ?」
「ああ。」
「サイショノヒトはリュウノハナをズットオッテイルヒトダッタ。」
「・・・・・・それで?」
「サイショノヒトイッテタ。
リュウノハナはオッチャイケナイ。
イキモノはミンナフシギなモノダケドアレはモットフシギナモノダカラッテ。」
「だが薬にもなるし価値も高い。
俺たちの生活の為にも大勢の命の為にも、
俺たちが生きる為には捕まえなくてはいけないんだ。」
「デモ・・・」
「忠告は聞いておく。
じゃあな。達者で暮らせ。」
「ウン、アリガトウ、カオル。」
暗い洞窟に感謝の声が響く。
ブリキ虫だけが、わずかに暗闇を照らしていた。
ジュウゾウ「おい。」
血気盛んな顔で呼び止められた。
ジュウ「おまえだろう、俺の獲物を横取りしやがったのは。」
そ知らぬ顔でとぼける。
カ「もし俺なら、今頃大金持ちになってこの街にはいないさ。」
ジュウ「ちくしょう。」
「ジュウゾウさん誰かれかまわず疑うのはやめて下さいよ。」
ジュウ「うるせえ。
おい、お前だな。」
見知らぬ通りがかりに声をかける。
「ジュウゾウさん。」
カ「もう二度と捕まるなよ。」
カオルはどこまでも自由に広がる青い空を見上げた。