「シャアラ。」
「ん?」
カオルに呼び止められて振り向いた。
カオルが自分から声をかけてくるのは珍しい。
「どうしたの?」
「本を読みたがってる奴がいるんだが、おすすめのやつはあるか?」
「カオルじゃないの?」
「ああ。」
「ふ〜ん。でも人には好みもあるし、その時のその人に必要な本もあるし。」
「とにかくたくさんあればあるほどいい。」
「それならサヴァイヴ名作一万選っていうのがあるから、それがいいんじゃないかしら。」
「そんなにたくさんは無理だ。それに高いんじゃないか?」
「一冊の本にデジタルで全て入っていて、
皆に読んでもらおうって本だから値段も100サヴァイヴよ。」
「それならうってつけだ。」
「ふふっ。」
「なんだ?」
「プレゼント?」
「まあ、そんなところだ。」
「カオルにこの街で友達ができたのね。」
「いや、そういう・・・」
「頑張ってね。」
「ああ。」
なにか誤解があるのかもしれないが、黙っておいた。
それにしても一万冊か。
アイツ喜ぶだろうな。
カオルは無表情なアイツの喜ぶ顔を思い浮かべた。