司会者「本日お集まりの皆さんは、いずれも腕に自信のおありの方たちばかりであります。

    その実力を十二分に発揮して大会を盛り上げてくださいませー。」

「能書きはいいからさっさとやろうぜー。」

司「ですがその前に予選を行いたいと思います。

 こちらの警備タイプロボットと一対一で戦っていただきます。

 負けた選手はもちろん本選には出場できません。

司会者が左手をかざすと緑色の巨体のずんぐりしたロボットがあらわれた。

司「それでは選手ナンバー1の方はこちらへどうぞー。」

「オレだー。」

4メートル四方のリングの上に大柄の男とそれより大柄のロボットが対峙する。

司「リングから落ちるか気絶、ギブアップされると失格です。

 5分以内に倒せなくても失格となります。

 ダウンは関係ありません。

 それではいいですかー?」

「おう。」

「では、ファイッ。」

カーン

「叩き出してやる。」

勢いよく飛び出し、ロボットにぶちかましをくらわせるもロボットの巨体はわずかに動いただけだった。

それでも押し出そうとする男にロボットの長い腕が鞭のように振り回され男の体を叩きつける。

倒れてそのまま動かない男。

「はいっ、気絶ですね。次の方どうぞー。」

 

いくつものリングで予選が行われていくなか、とうとうカオルの番になった。

「ではナンバー177の方リングへおあがりください。」

カオルはいつもの服に手に革のグローブをはめてリングにあがった。

「ではっ。」

カーン

カオルは素早い動きで右側からロボットの後ろへ回り込む。

ロボットはカオルを視界にとらえようと後ろを振り向く。

しかしカオルはロボットの周りを円を描くように後方へ後方へと回り込む。

必死でついていくロボットの巨体のバランスが崩れた。

「今だ。」

カオルはロボットの体を支えると転がすようにロボットを場外へと運び出した。

「はいっお見事、勝負ありです。177、予選突破です。」

黙ったままリングを降りるカオル。

「さすがだね。」

「ああ。ベルも頑張れよ。」

「うん。」

「ナンバー178番の方、リングへどうぞー。」

ゆっくりとベルがリングにあがる。

さっきと同じタイプの別のロボットがリングに運ばれてくる。

カーン

ベルは最初の男と同じように正面からロボットにぶつかる。

ドガッ

おおきな衝撃音がしてロボットのバランスが崩れる。

そのままロボットを場外へと突き落とした。

「はい、178番予選通過です。」

「ふーっ。」

額を拭うベル。







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