エアシューズによる空中戦が主体となる試合がすすんでいった。
ベルは一、二回戦を力押しで突破してカオルも一回戦を勝ち上がっていった。
「さあー、いよいよベスト8最後の試合です。
カオル選手とデビルン選手です。両選手どうぞー。」
わーわー
(デビルン選手・・・・・・どうみても熊じゃないか。)
現れたのは黒い体毛に包まれた獰猛そうな動物。
(これも異星人なのか?)
「それでは試合開始です。どうぞ。」
カーン
対峙するふたり。
デビルン選手は今にも飛びかかってきそうだ。
しばらく向かい合ったあと、しびれをきらしたデビルンはカオルめがけて突進してきた。
後方に飛んで避けたカオルは、そのまま後方の壁を蹴り、エアシューズの浮力で天井の壁を蹴って、デビルンの後方の壁を蹴って三角跳
びの要領でデビルンの背中に右足で蹴りをくらわす。
少しよろけたもののデビルンはその左腕をカオルに向かって後ろ向きのまま振り下ろす。
鼻先で紙一重でかわすカオル。
(一撃くらったら・・・死ぬな。)
その一撃の破壊力の差を冷静に分析する。
しかし、素早さでは勝てる。
コイツはエアシューズも使いこなせてはいない。
四方の壁を利用して死角から、デビルンの右足を狙ってダメージを与えるカオル。
その間も鋭い爪がカオルの体を何度もかすめる。
「すげえ。」
「なんてスピードだ、アイツ。」
「・・・でもあの体じゃ一撃でもくらえば終わりだな。」
何度も右足をけずるカオル。
デビルンは痛みで頭にきている。
荒々しく振り回す爪先は対戦相手に当たらない。
我慢できずに左足に大きく重心が偏る。
「よし。」
カオルは今度は相手の左足のエアシューズのスイッチボタンを蹴った。
エアシューズの力で、デビルンの体が無重力状態のように回りだす。
「最後は・・・」
カオルは後ろに下がり思い切り後方の壁を蹴って、空中を飛ぶようなそのままの勢いでデビルンの顔面に右のパンチを食らわせた。
顔面から鮮血が飛び散る。
「おっと、これは・・・」
レフェリーが試合を止める。
「デビルン選手気絶。よってカオル選手の勝利です。」
カンカンカンカーン
右手をあげるカオル。