「カオル血が・・・」
「ああ。」
カオルの体からは赤い血が流れていた。
「かすっただけだ。致命傷はない。」
しぼったタオルを渡すベル。
カ「いよいよ準決勝だな。」
ベ「うん、負けても20万サヴァイヴはもらえるし、準優勝でも100万サヴァイヴだ。」
「負ける気なのか?」
「いいや。」
ふっと笑うカオル。
カ「どっちにしろ後一回ずつ勝てば俺たちで決勝戦だ。
オレが棄権すれば、優勝と準優勝、300万サヴァイヴ手に入る。」
「うん。そうだね。」
「ベルの次の相手は・・・」
「あそこにいる・・・」
「がっはっはあ、準決勝だぜー。しかも相手はまだガキだ。
優勝もいただきだ。」
「あせるんじゃないよ。アンタはオツムのほうが足りないんだからね。」
「な・な・な・なんだとー。」
「サイボーグか・・・しかも体格も大柄だな。」
「でも俺は勝つよ。」
普段とは違う自信ある言葉に少し目を開くカオル。
「頑張れよ。ベル。」
「ああ。」
「それではいよいよ準決勝第一試合です。
力自慢のふたりが勝ち上がってきました。
迫力ある試合が期待できそうです。
では登場してもらいましょう。
日頃の建設業の力仕事で鍛え上げた体をもつ若きパワーファイターベル選手と、
サイボーグ化した体で人並み外れた力をもつボブ選手です。」
ボブ「がっはっはっはー。
生身のガキが俺様に勝てるわけがねえんだ。
さっさと棄権したほうが身のためだぜ。」
静かにウォーミングアップをするベル。
ボ「ぐぬぬぬぬ・・・
なぁめやがってえ・・・」
ジルバ「ボブ。落ち着きなよ。」
ボ「わかってるよお。」
司「それでは始めていただきましょう。
準決勝第一試合です。」
カーン
「うおおおおおおおおー。」
立ち上がりから、つかみかかってくるボブ。
逃げずに真正面から待ち構えるベル。
カ「ベル、逃げろ。」
中央でお互いの手を組み合うカタチとなった。
ボ「げっへっへ。力比べなら俺の勝ちだ。
とっとっとギブアップしたほうがいいぜ。」
歯を食いしばって全力を出すベル。
ボ「お、結構力があるじゃねえか。」
力の均衡がとれたまま動かなくなってしまったふたり。
ボ「だが、残念だったな。」
余裕の表情のまま力を入れるボブ。
ベルの体が押されぎみになった。
ボ「へっへっへっへ。
俺様に力で勝てる奴なんていねえんだよ。」
べ「ぐっぬっぬおおおおお。」
持ちこたえるベル。
ベ(俺は、今日の試合だけは負けるわけには・・・)
ボ「おっおっおっ!?」
ベ「いかないんだあー。」
ボブのほうに少し盛り返してきた。
ボ「こ、こ、こ、この野郎。」
ジ「ボブ。なにやってんだい。本気だしな。」
ボ「わかってるよおっ。」
ボブも全力を出してきた。
リングの中央で力を出し切るふたり。
司「おおおっーとお。これは予想をも上回る力勝負となりましたー。」
カ「ベル。」