チ「ちょっときてみいハワード。
もうすぐ始まるで。」
ハ「なにが始まるんだ?」
大いなる木のテレビにチャコとルナとアダムとシンゴとシャアラがはり付いている。
ル「シャアラ原作の無人惑星サヴァイヴがアニメ化されたのよ。」
ハ「なにー。」
シ「しかも登場人物は僕たちがモデルなんだって。」
ハ「なんだと。そんな重要なことをなんで今教えるんだ。」
「お父さんも早く。
お父さん。」
「大丈夫だ。
ルナ・・・どんな苦しいことがあっても、辛いことがあっても負けるな。
最後まで生きるんだ。
生きるんだ。ルナ。」
「お父さん。
ふわっ。
(お父さん。)
おとうさーん。
おとうさーーん。」
チ「お、始まったで。」
シャ「ルナとチャコ以外には内緒にしてたのよ。」
シ「僕らもさっき知ったんだ。」
ア「うん。」
ハ「なんで内緒にするんだ?」
シャ「本当に放送されるのかわからなかったから・・・」
ハ「ふ〜ん。まあいいや。それにしてもいい歌じゃないか。」
シャ「異星人のふたり組が歌ってるのよ。」
ア「本当にいい歌だね。」
ハ「それにしてもなんだこれは?ルナばっかりじゃないか。
おまけにこれは僕か?
脇役どころか悪役じゃないか。」
シャ「ルナは私の主人公だから。ね。」
ル「そんな、照れちゃうわね。」
ハ「ちぇっ。」
シ「ハワードは悪役というより、いやな奴だね。」
シャ「ここら辺は私達のコロニーの出来事と同じよ。
ハワードがカオルにからんで・・・」
シ「もみ消したやつだね。」
ハ「あれは、その・・・僕がもみ消したんじゃなくて、勝手にそうなるんだよ。」
チ「パパーの力やないか。」
ハ「それで?無人惑星なんかでてこないじゃないか。」
シャ「重力嵐に巻き込まれて、漂着した先が無人惑星なのよ。」
チ「そこからが、ウチらの物語とちゃうとこやな。」
ハ「ふ〜ん。あれ、待てよ。メノリの劇もそんな話じゃなかったか?」
シ「あれは、どこかの星で生まれた物語らしいよ。
その一部分だけ、大昔からこの星にも伝わってるんだって。」
チ「なんやどこかのコロニーの作家が書いた空想物語とか、
一部ではホンマの作者の体験談やっちゅう話もあるらしいで。」
ハ「どこかってどこだよ。」
シ「なんでも僕達と同じような重力嵐の向こうの遠い遠い遠い世界の物語とか・・・」
ハ「それをなんでシャアラが知ってたんだ。」
シャ「知ってたんじゃないのよ。
でも私、あの劇を見て、なんだかその続きを自分なら書ける気がして、
仕事の合間にコツコツと書いていたの。」
チ「それが、色んな人の協力でアニメ化までされたっちゅうわけや。」
ル「おめでとう。シャアラ。」
シャ「ありがとう。みんなのおかげよ。」
ハ「まあ、いいや。もちろん僕が活躍するシーンもあるんだろうな。」
シャ「あるわよ。すっごくかっこいいのが。43話かなあ。」
ハ「な、なんだ、そんな先の話かよ。」
チ「なんや、お前照れてんのんか?」
ハ「バ、バカ言うな。ぼかぁ、照れてなんかいないさ。」
シ「なんだか嬉しそうだね。」
ハ「なにーこのー。」
ア「僕は?でてこないの?」
シャ「アダムもちゃんと登場するわよ。
19話からね。」
ア「ほんと?わーい。」
ル「良かったわねアダム。」
ア「うん。」
ハ「で?どうなんだシャアラ?コレは?」
シ「なんだよそれ?」
シャ「あ、お金?」
チ「ホンマ意地汚いやっちゃ。せっかく夢のある話をしてるっちゅうのに。」
ハ「大事な話じゃないか。」
シャ「アニメーションの世界は切り詰められているし、これは国営放送局だから・・・」
ハ「なんだ・・・たいしたことないのか。」
肩を落とすハワード。
シャ「でも一応原作者扱いだから、関連商品が売れても永続的に印税が入ってきて・・・」
復活したハワードの目が輝きはじめる。
ハ「い・ん・ぜ・い?聞いたことあるぞ。
なにもしなくても黙ってても懐にお金が入ってくるっていうアレだな。」
ル「ハワード。よだれ・・・」
ハ「ということはだな、
生きてさえいれば僕たちはいつか必ずコロニーに帰れるってことじゃないか。」
チ「ちょっと違うような気もせえへんでもないけど、まあそういうこっちゃ。」
ハ「ひゃっほーう。よくやったぞシャアラ。
帰れる,、帰れるんだ。僕達はコロニーに帰れるんだ。」
シャアラの手をとってクルクルと回るハワード。
シャ「もう、ハワード。」
ル「全くもう。」