マネージャー「メノリさん。45分したら出番ですよ。」
「はーい。」
メノリはもらったファンレターの山をかき分けていた。
「これも違う、これも・・・」
探しているのはハワードが出したという手紙だった。
開いた扉から、若い女の声が聞こえる。
「ちょっと売れてるからっていい気になってるのよ。」
「お高くすましちゃってさあ。」
「ああはなりたくないわねえ。」
ライバルの異星人だろうか。
わざと聞こえるようにうわさをしているんだろう。
メノリは無視して手紙の整理に努める。
「いい加減にして姿をあらわせ。」
ひとりで手紙の山にあたるメノリ。
「イタッ。」
ひとつの手紙を開いた途端に指先に電流が走った。
嫌がらせの手紙だ。
励ましや、好意の手紙以外にも、いきなり気味の悪い声が流れてきたり、
細い針が入っているものや、ブリキ虫が入っている手紙もあった。
まあ、ブリキ虫は私はなんとも思わないのではあるが、やっぱり気味が悪かった。
「・・・・・・」
それでも我慢して黙ってひたすら探すメノリ。
「・・・・・・・・・!あった。」
あて先はサヴァイヴ文字だが、コロニーの文字の汚い字も書いてあるので、一目でハワードだとわかる。
封筒も大いなる木の売店で売っていた、見慣れたものだった。
「なんだ、開封する必要なんてなかったじゃないか。
アイツが一言言ってれば、こんなに苦労する必要もなかったんだ。」
手紙はとりあえず、3通見つかった。
「あの馬鹿なにを書いたんだ?」
すましながらも、期待に胸を膨らませて開封する。
1通目の手紙には、一枚の便箋にでっかく
~頑張れ~
とだけ書いてあった。
(・・・これだけ?)
期待外れに拍子抜けするメノリ。
「まあ、待てわたし、残りの手紙も見てからだ。」
2通目にはまた大きな文字で
~負けるな~
とあった。
3通目には、
~がんばれよ~
とあった。
再び残りの手紙を探す。
・・・全部で24通あった。