シンゴの働くポルトさんの工場・・・
ファーロさんがシンゴに陽気に声をかける。
ファ「シンゴ、貯金はいくら貯まったんだ?」
シ「なんだよ。いきなり。」
ファ「いいから言ってみろ。上司命令だぜ。」
シ「えーっと、メノリの100万サヴァイヴちょっとに、ベルとカオルの格闘大会の賞金300万、
シャアラが150万くらいでメノリがまた100万サヴァイヴで、
それで僕たちの貯金が200万ないくらいで・・・」
ファ「ふむふむ。」
シ「後アダムの両親からと、
シャアラのアニメの印税とメノリのCDの印税がはいるはずだから・・・」
ファ「そのお金、俺達に預けてみないか?」
シ「え、どういうこと?」
ファ「親父。」
ポ「なんじゃ、騒々しい。」
そっぽを向いて仕事の手を休めずに答える。
ファ「シンゴ達が850万サヴァイヴ貯めたって。」
ポ「なんじゃと。」
驚いて仕事の手を止める。
シ「ファーロさん。」
ファ「しかもまだ確かな収入が見込めるってよ。」
ポ「ふーむ。そりゃあ、凄いのお。」
シ「ポルトさん?」
ポ「お金を稼ぐ大変さは、ワシらはよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっく身にしみてわかっとる。
その歳でそれだけの額を稼ぐには、並々ならぬ苦労と絆があったんじゃのう。」
眼を閉じて静かに語る。
ポ「お前さんたちはその歳でサヴァイヴよりも大切なものを手に入れておる。
大切にするんじゃぞ。」
シ「?はい。」
ファ「それでさ、親父。ココで作ってみないか?」
シ「なにを?」
ファ「シンゴ達の欲しがってる宇宙船さ。」
シ「えええーーーーーーーっ。」
オンボロの見慣れた工場を見渡す。
シ「ここでー?」
ファ「ココで作るのは部品部分で少しずつ別の所で完成させるのさ。」
シ「でも・・・」
ファ「古い工場だからって馬鹿にすんなよ。
昔は色んな注文がきたもんさ。
大切なのは優秀な技術屋をかき集める人脈だぜ。
なあ、親父。」
ポ「馬鹿ったれー。なにが古い昔じゃあー。まだまだ現役じゃわい。
それにお前はもうひとつ間違っとる。」
ファ「?」
咳払いをして真剣な顔でシンゴの両腕をつかむ。
ポ「シンゴ。お前たちのその苦労して稼いだサヴァイヴでワシらに宇宙船を作らせてくれんか。」
ファーロさんも慌てて帽子を脱いでシンゴに頭を下げる。
ファ「頼む。俺達に作らせてくれよ。」
シ「ちょっ、困るよそんな。頭を上げてよ。
それに僕の一存じゃ決められないよ。」
ファ「じゃあ・・・」
シ「みんなに話してみるよ。」
ファ「ホントかよ。やったぜ。これでここもまた忙しくなるぜ。」
ポ「これ、馬鹿息子。まだ気が早いわい。」
笑う職人達3人。
シ「それで具体的にはどうするの?」
ポ「ふむ。知り合いがワシの知っとる中古大型輸送船を売りたがっておったから、
それを元に改造して・・・」
シ「なんていう輸送船なの?」
ポルトさんは懐かしそうにその船を思い浮かべる。
ポ「オリオン号じゃ。」