ア「わあ、いっぱいいる〜。」
カ「こういう隙間にはいった瞬間を狙うか・・・」
一匹の魚が隙間にはいって、消える。
カ「または油断しているさかなの逃げる方向をあらかじめ作っておいて・・・」
ア「ゴクン。」
カ「その一歩先をつくんだ。」
一匹の魚が刺さる。
ア「すごいなあ。」
カ「やってみるか?」
ア「うん。」
カ「モリの柄にゴムがついてるからそれを手にかけて・・・こうするんだ。」
カオルの親指の付け根にかけられたゴムの反動で、モリが素早く放たれる。
ア「やらせて。」
カ「少し力がいるぞ。」
ア「うんしょ。」
ハ「あ〜あ。みんな楽しそうだなあ。」
遠くからチャコの声が聞こえる。
チ「回転ハリケーン竜巻アターックや。」
フィ「ウグッ。」
アダムは遠くのほうでカオルと魚を狙っているようだ。
ベルとシャアラがいるほうからは、笑い声が聞こえる。
ハ「メノリは・・・」
少し沖でシオンといた。
楽しそうに笑って水をかけあっているようだ。
ハ「ハアー。」
うつ伏せに寝て肘を立てため息をつく。
目をつぶって耳をすますと、人の声よりも、波の音がよく聞こえてくる。
何度も何度も繰り返し繰り返し・・・
なんだか吸い込まれそうに気が遠くなってきた。
「行かなくていいの?」
すぐ傍で誰かの声がした。
びっくりして飛び起きるハワード。
傍には誰もいない・・・
ベ「どうかしたー?」
ベルの声が後ろから聞こえる。
ハ「いやあ。何でもないんだ。」
ベ「そう。」
またシャアラとのお喋りに戻ったようだ。
ハ「誰の声だったんだ?一体。」
ブルキンがハワードの茶色の水着にとまる。
ハ「おまえじゃないよな?」
ブルキンを摘み上げてみる。
ハ「まさかな・・・」
ブルキンを頭の上に乗せる。
「見てあの子・・・」
「やだ、ブリキ虫を頭に乗せてる・・・」
通りすがりの異星人がなにか言っているようだが、ハワードは気にならない。
「行かなくていいの?・・・か・・・」
さっきの声を思い出す。
「誰の所へだよ?」
砂浜へ寝そべるハワード。
何処ではなく、´誰の所´と言うところで、実はもう答えは出ていた。