メノリはあせっていた。

「誰もお金をいれていかないではないか。」

このままでは骨折り損のなんとやらだ。いやそれよりも責任を果たせないことのほうがまずい。

しかも他のみんなはきっちりノルマを果たしていて私だけ・・・いやな想像が頭をかすめた。

「いや奴がいるんだそれはない。でももしアイツにまで・・・」

「よっ」

ビクッ

「ハワード!」

「なんだ少しも入ってないじゃないか、なにやってんだ生徒会長。」

「うるさい!おまえこそどうなんだノルマは果たしたのか?」

「僕かぁ?僕はなぁ。」

顔一杯に得意そうな笑みを浮かべる。まさか・・・まさか・・・

差し出した両手には小銭が十枚ほど。

「なんだそれだけか。とてもノルマには足りそうもないな。」

「わからないじゃないか。ほらこの緑色の輝きのやつなんて10サヴァイヴはあるぜ。」

「10・・・おまえにしては謙虚だな」

「う・・・うるさい。気の毒な異星人がいてめぐんであげたからこれだけなんだ。」

本当は全部合わせても5サヴァイヴのジュースすら買えなかったことはいえない。

「それにしてもいい音色じゃないか何人か聴いているふうな輩もいるようだぜ。」

「だがいれていかないんだ。しょうがないじゃないか。」

「わかってないな。」

ハワードは自分の小銭と紙切れをヴァイオリンケースに放り込んだ。

「おまえがいれたってしょうがないじゃないか。」

「馬鹿、おまえは本当にいいとこのお嬢様だな。

こういうのは始めからいくらかはいってないといれてくれないもんだぜ。

そして俺様も仲間じゃなくて客のひとりにみせかけるんだ。」

そうしてハワードは目の前に座り込んだ。

「おら弾けよ」

屈辱だ。だが責務は果たさねば。メノリは再びヴァイオリンを手にとった。

 

 

 

 

 

 

ハ「もう夕方だ。これで終わりだな。」

メ「いくらあるんだろうなコレ。」

「さあなぁ、いっとくが半分は僕の手柄だからな。」

骨を折ったのはわたしだが仕方ない。

「しかし200もあるだろうか。」

「いいじゃないかそんなにこだわらなくても。」

「しかしノルマというのは絶対に・・・」

「はいはいでも半分はぼくのノルマの分だからな。」

「わかってるよ。

それにしてもおまえもいいとこの坊ちゃんじゃないのか。なんであんなこと知ってたんだ?

それに最初の小銭はどうやって・・・」

「なあに不良の仲間がいたからな。小銭は拾ったのさ。」

「ふっははははは、とんだ貴族のたしなみだな。」

 

待ち合わせ場所

シンゴがひとりでみんながくるのを待っている。

「あ〜あ〜たったの25サヴァイヴかぁ、4分の1にしかならなかったよ。」

「やあシンゴどうだった?」

「おかえりベル、こっちはやっと4分の1、ベルは?」

「俺は工事現場の手伝いをして60サヴァイヴ。でも明日もきてくれって言われたよ。」

「すごいじゃん。これからも安定してお金が手に入るわけだ。」

 

「ただいまみんなー」

シ「ルナ達だ。どうだったー?」

ル「食べ物市場で三人でバイトしたの。

わたしとシャアラは皿洗いとか雑用、チャコは客引きをね。」

シ「ノルマは達成できたの?」

シャ「全然できなかったの、

でもお金のかわりにわたしたちもたべられる果物を一杯もらってきたわ。」

チ「売れ残りやけどな。」

シ「やったぁもうおなかがへって死にそうだったんだよ〜。」

ル「でも三人が帰ってくるまでまちましょう。」

シ「あ〜早く帰ってきてよぉ」

 

「よう。」

シ「あれーふたり一緒だったの?どうだったー?」

ハ「ふっふっふっふ、ジャーン!」

「おおーー!」

ル「かなりあるわね。」

メ「でも小銭がほとんどでいくらあるかわからないんだ。」

チ「ほんならウチにまかしとき。この星の通貨は把握したでえ。」

 

「157サヴァイヴと7ドローンや。さすがメノリ、ノルマ達成やな。」

「いやこれはハワードと二人分の稼ぎなんだ。だから義務は果たせなかった、すまない。」

シャ「でもヴァイオリンでメノリが得たんでしょ?」

「うるさいなぁ。これは僕とメノリと二人で稼いだ金なんだ。ゴチャゴチャいうな。」

ル「本当なの?メノリ。」

「ああ本当だ。わたしだけではこんなにももらえなかった。」

「ホンマかいなぁ。なんか弱みでも握られてるんちゃうかー。」

「なにー、おまえらーーーっ」

「感謝してるぞハワード。」

「えっ…お、おう。」

 

メ「さてあとはカオルだけだな。」

ハ「もう食っちゃおうぜー。」

ル「ダメよ。みんな揃うまで待つの。」

シャ「あ、帰ってきたみたいよ。」

シ「おかえり、どうだった?」

カオルは右手を差し出し、ルナに一枚の硬貨を手渡した。

チ「おおーこれは100サヴァイヴ銀貨や。」

ハ「なにー本当か?」

ル「すごいじゃないカオル。どうやって稼いだの?」

カオルは無言でなにも答えない。

メ「結局ノルマを果たせたのはカオルだけだったな。」

チ「まあええやないか。みんなそれぞれなんやかんやで稼いできたわけやし。

それよりウチもうエネルギーが尽きそうや。」

ル「そうね、みんなお疲れ様。夕食にしましょ。」

シャ「サヴァイヴァルナイフで切り分けるわね。」

ハ「ヒャア、うまそうだなあ。」

ル「それじゃあ」

皆「いただきまーす。」








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