この○○○○に当てはまる言葉は何ですか?
「ポストの数ほど○○○○を」と願うろう者の思いと同じです。
この思いを胸にずっと手話活動を続けています。でも、時に“自分はその思いを手話を学ぶ人々や行政関係者へちゃんと伝えてきたのだろうか・・”と自問することが増えました。もちろん私が手話を学び始めた30数年前とは比べようもないほど手話学習者の数は増え、手話通訳者養成・認定・設置・派遣も整ってきています。それはろう者団体を中心に手話関係団体が一丸となって手話通訳制度の確立に向け運動を進めてきた成果です。
しかし、ここ数年、まだまだ未確立の手話通訳制度の課題解決へ向けての取り組みに一体感が感じられず、2006年の手話入札問題は、それを象徴しているのかもしれません。
「運動に関係なく、手を振るだけの手話通訳者が増えた。」
「いつでも、どこでも、どんな時にでも手話通訳が必要だから、一生懸命、手話を広め手話通訳者の養成に関わり、運動を続けているのに手話通訳者に裏切られた。」
「手話サークルや通訳者集団はろう団体と車の両輪ではなかったのか!」
悔しさに震える手や眼差しが、つい昨日のことのようによみがえり、熱いものが込み上げてきます。あの日から変わったことはなんでしょう。関係団体は本当に手話通訳制度の確立に向け協力しあっているのでしょうか。
最近、こんなことがありました。
A市からB市に転居したろう者がB市に手話通訳者派遣事業のことを尋ねると「事業は委託しているので一週間前に申請してください。」と言われ、「A市では3日前までだったし、福祉事務所に手話通訳者がいて手続きや緊急な場合にも対応を考えてくれていた。市役所での様々な手続きは誰が通訳してくれるのか・・」・・転居して初めて市によって対応が違うことを知り、今まで利用できていたことが利用しにくい不便さに戸惑いの色は隠せません。委託先の都合や個人のつながりで聞こえの保障が左右されるなんてことは公的事業においてあってはならないことです。「いつでも、どこでも、どんな時にでも手話通訳を」に応えられる体制づくりのために、早急にB市に出向き、転居したろう者と一緒に団体として話し合わなければと思っています。
朗報も届きました。A市からC町に移り住んで数年のろう者から「町にいる手話通訳者はとても少なくて、派遣が利用しにくかったけど、町が県の派遣機関と契約をしたので依頼しやすくなったよ。」
桜の便りに元気が沸いてきました。羽を休めながら一歩一歩前を向いて歩けそうです。さぁ、まず身近な自分の暮らしている町や市から見つめ直してみましょう。
そして、どこに住んでいても不平等のない広島県づくりに関心をもって取り組みましょう。
中本 智子